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多動の鑑別

 発達障害と虐待、愛着障害の状態像は類似し重複する
ということが知られるようになってきました。
さまざまな困難の土台に発達障害、愛着障害があると言っ
てしまってもよいのかもしれません。
両者の鑑別は難しいものですし、発達障害児の状態像の
厳しい個はよくきいていくと愛着の問題を抱えてことが少な
くありません。

そんな中で現場の直感でしかありませんが、最近、落ち
着きのなさの質は発達障害と愛着障害とはちょっと違うの
だろなと感じ始めています。
それは、「動いてしまう、落ち着きがない」と「イライラしてい
る」の違いにみえます。

発達障害の落ち着きのなさ、多動性は刺激に反応して起こ
ることが大部分で、対人関係については比較的くったくなく、
単純に関わりそのものだけでトラブルの起こることはそう多
くありません。最近はADHDだけというケースは減少してい
て自閉症スペクトラムとの重複タイプが多いと言われてい
るようで、そうだろうなと思っていますが、それにしても彼ら
は自分のペースで生きてしまいがちでも穏やかなのです。
一方、愛着障害に根ざした落ち着きのなさは動いてしまう
のではなく「イライラしている」のです。
周囲とは関係なしに本人がジリジリしている印象を受けま
す。だから、きっかけが分析できないことがあるのです。
何かに反応して動き出すのではなく、もともとジリジリして
いる所にたまたま何かが飛び込むと暴発してしまうので、
「どうしてそんなことで」という場面が少なくありません。
そして、関わりを巡るトラブルが本当に多く、イライラ、ジ
リジリと常に連動しています。
そう考えると、「ずっと動いている」のと「ずっとイライラして
いる」とは本質的に違うのです。そこはみておきたい。

 そして、やはり大事なのは本人の状態像だけで判断は
できないということです。
家族の養育態度や支援者が接してみた時の家族の様子
とあわせ見たときにみえてくるものがあります。

 さらには、この両者の違いは問題がどちらかに起因する
かという二者択一的な探索に用いるものではなさそうです。
その個の状態のおける影響の強さとして考えたい。
というのも重複は山ほどあり、ひょっとしたら単純性の愛着
障害って案外少ないのかも知れない等と感じています。
ADHDは多動衝動性優勢、不注意優勢に分かれます。
愛着障害も抑制型と脱抑制型に分かれます。
結びつき具合の組み合わせもあるのだろうとも思っています。
あらわれが外在化するタイプと内在化するタイプはありそう
です。

先日、「高機能のおこさんが過敏でトラブルが多くて困る」と
いう相談がありました。
すべてが刺激で反応しやすく、トラブルが本当に多いとのこ
とでした。
けれども、「すべてが刺激で」という所がどうもひっかかった
のです。よくきいていくと愛着の問題が伺われる家族関係、
その個の疎外がありました。
このケースの場合は虐待性のものというよりも、個の発達
障害に起因する育てにくさや家族の多忙の影響などによる
困難といえそうでしたが、トラウマティックで初期関係の形成
ができていないのは確かなようでした。

 支援の質は当然違います。
簡単にはいえませんが、愛着障害の影響が強い場合には
「参加を外す、参加に力点をおかない」ことが大事だと思
います。
「みんなと」の前の課題がおおきいヒトに参加を求める支援
をし過ぎることで支援者の疲弊がおこりがちです。

ちょっと難しい話題ですが、最近、現場でよくある問題です。

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